北村龍平

  

Grace Under Pressure

前回のメッセージを読んで、
親友のレンがテキストを送ってきてくれた。
一枚の画像と共に。

大好きなバンド、ラッシュの1984年のアルバム。
Grace Under Pressure のジャケットだった。

さすがレン。
今さら励ますだ、元気づけるだという間柄でもないのだが、
的確にこうやってメッセージを送ってきてくれる。


Grace Under Pressure


これは俺がもっとも好きな言葉のひとつだ。

訳すと、

プレッシャーの中でも優雅に。

という意味だ。


ヘミングウェイの名言の中にもある。

Courage is grace under pressure.

勇気とは、重圧下での気品だ。


そしてケネディ大統領も名言を残している。

The elusive half step between middle management
and true leadership is grace under pressure.

中間管理職と真のリーダーシップとの微妙な半歩の違い。
それはプレッシャーの下で優雅さを保てるかどうかだ。


人はみなそれぞれの事情を抱えて生きている。
100%ハッピーで満足に生きている人など、ほとんどいない。

たとえ成功した人、金持ちであっても、
それはそれでまた違った形の悩みや問題があるものだ。


人間というのは、
いともたやすく状況や環境に左右される。


人生がうまく回っている時には、つい調子に乗ってしまう。

ドン底の時には、何でもネガティブに考えて落ち込む。


そういうもんだろう。


難しいのは、
その逆を行くことだ。


調子のいい時こそ、しっかりと足元を見据える。

ドン底の時にこそ、強い精神を持たねばならない。


重圧の中でこそ、優雅さを忘れるな。


ラッシュを通じて28年前にこの言葉を知って以来、
ずっとそれを肝に銘じて生きてきた。

だから俺は、
どんな状況に追い込まれようとも、
あまり焦ることがない。

今まで数々の人生の修羅場を、
比較的冷静に、くぐり抜けてきたと思う。


だが時には、
それでも、やっぱり、

追い込まれて焦り、落ち込み、
やり場のない怒りを抱えて、途方に暮れることもある。

叫び出したいことも、泣きわめきたいこともある。


そんな時にこうして、誰かが、何かが。

忘れかけていたことを、思い出させてくれる。

気づいていなかったことを、気づかせてくれる。


本当に、ありがたい。


そんな簡単に消えてしまう情熱ならば、
もうとっくの昔に燃え尽きている。


泣こうが笑おうが、
俺にはこれしか生きる道はない。
他の生き方なんて選択肢はない。


ならば、
何があろうとも、ひたすらに突き進しかない。


まだまだ、


もっと先へ、もっと前へ、もっと上へ。



プレッシャーの中でこそ、優雅に。










Aug, 26, 2012